泥田坊

どろたぼうdorotabo

泥田坊は、夜の田んぼに現れ、片腕を突き上げて「田を返せ」と叫ぶとされる日本の妖怪。

泥田坊
イメージ画(当サイト制作)
分類
怨念型妖怪 / 農耕妖怪
分布
秋田県・新潟県など稲作地帯

解説Overview

泥田坊(どろたぼう)は、夜の田んぼに現れるとされる妖怪である。片腕を突き上げ、濁った声で「田を返せ」と繰り返す姿で語られる。多くは、子孫に田を売られ、あるいは荒らされた農民の一念が妖怪化したものと説明される。有力な出典として、柳田國男『妖怪談義』(1956年、修道社)が知られ、そこでは泥田坊を「田を返せ」と叫ぶ妖怪として紹介している。また、水木しげるの妖怪画や妖怪事典によって広く人口に膾炙した。

由来については、秋田県や新潟県など稲作地帯の伝承として語られることが多い。農民が丹精した田を息子が売り払った、あるいは水を引く順番を巡る争いで死んだ者が、田への執着から妖怪となったという筋立が典型である。この場合、泥田坊は単なる脅かしではなく、田を守るべきという共同体の規範を語る存在でもある。

姿は、泥まみれの老人ないしは一つ目の大男として描かれることが多い。片腕だけを上げるのは、泥中に埋もれた体を引き抜こうとする動作とも、田を指し示す仕草とも解釈される。地域により「田を返せ」ではなく「水を返せ」「あとを返せ」と聞こえるという異伝もあるが、それらが同一の妖怪名で呼ばれるかは不明である。

時代が下ると、泥田坊は都市化や減反政策などで失われた田園への郷愁を象徴する存在として再解釈されることもある。しかし、伝承自体はあくまで農民の怨念や田への執着を核としており、現代の環境問題に直接結びつける解釈は出典に基づかない。

なお、泥田坊という名は、泥を被った姿を「泥田」に、人を「坊」と呼ぶ接尾辞を組み合わせたものと推測されるが、語源を明確に示す史料は見当たらない。柳田國男の記述以外にも、地方の民俗誌に類話が散見されるが、その多くは口承の記録であり、成立年代は特定できない。

伝承・史料Lore

柳田國男『妖怪談義』: 泥田坊を「田を返せ」と叫ぶ妖怪として記述。農民の怨念が妖怪化したとする解釈の基礎。

秋田県の伝承: 息子が田を売ったため、死んだ父が泥田坊となって現れ、田を返せと迫ったという話が伝わる。

水木しげるの妖怪画: 片腕を上げた泥まみれの姿で描かれ、現代の妖怪イメージの形成に寄与した。

出典・参考文献References

  1. 妖怪談義 柳田國男(修道社) 1956泥田坊に関する記述
  2. 日本妖怪大事典 村上健司(角川書店) 2005泥田坊の項
  3. 怪異・妖怪伝承データベース 国際日本文化研究センター該当項目の各地事例2026-09-19

特集Collections

よくある質問FAQ

泥田坊はどんな妖怪ですか?

夜の田んぼに現れ、片腕を上げて「田を返せ」と叫ぶとされる妖怪です。農民の怨念が元になったという伝承があります。

泥田坊の出典は何ですか?

柳田國男の『妖怪談義』が主要な出典として知られています。また、水木しげるの妖怪画や妖怪事典でも紹介されています。

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最終更新: · 編集: 百鬼編集室