油すまし
熊本県球磨地方の山道に現れ、通行人に油をすますように無言で立ち去る妖怪。

- 分類
- 妖怪
- 分布
- 熊本県球磨地方を中心に九州南部
解説Overview
油すまし(あぶらすまし)は、熊本県球磨郡を中心に伝わる妖怪である。名前は「油をすます(油を取る、油を絞る)」という行為に由来するとも、「油坊主」の訛りともいわれるが、語源は未詳の部分が多い。柳田國男が『妖怪談義』などで紹介したことで広く知られるようになった。
姿は一定しない。柳田の記述によれば、頭に円い皿のようなものを載せ、蓑を着た小柄な老人の姿で現れるという。皿には油が入っており、それが名前の由来とされることもある。しかし、地域によっては猿のような姿、あるいは単なる黒い影として語られることもあり、外見の伝承は一定しない。
性質は温和で、人に害をなすことはほとんどない。山道で行き会っても、相手をじっと見るだけで、問いかけにも答えず、そのまま立ち去るという。ただし、油すましに油を取られると、その家は没落するという言い伝えもある。また、油すましが現れるのは夕暮れ時や夜が多く、昼間に見ることは稀とされる。
地域による呼称の差も大きい。球磨地方では「油すまし」のほか、「油すましどん」「油とり」などと呼ばれることがある。また、同じ九州でも鹿児島県や宮崎県には類似した妖怪が伝えられ、それぞれ異なる名で呼ばれている。
時代による変化も見られる。江戸時代の妖怪画集には油すましの名は見えず、柳田國男による明治末期から大正期の採集によって全国に知られるようになった。昭和以降は水木しげるの漫画や妖怪図鑑などで紹介され、現代では熊本県のご当地妖怪として、地域おこしや観光資源として扱われることもある。
現代の妖怪事典では、油すましは「人の害にならない妖怪」の代表例として挙げられることが多い。その静かな存在感と、正体の不明瞭さから、現代怪異として再解釈されることもあるが、伝統的な伝承ではあくまで山道に現れる無害な妖怪として語られてきた。
伝承・史料Lore
柳田國男の採集: 柳田國男は『妖怪談義』などで油すましを紹介し、熊本県球磨地方の伝承として記録した。 油を取る妖怪: 油すましが家から油を取ると、その家は没落するという言い伝えがある。 姿の変遷: 柳田の記述では皿を載せた老人の姿だが、地域によっては猿や黒い影とされることもある。
出典・参考文献References
- 『妖怪談義』 柳田國男(修道社) 1957 — 油すましに関する記述
- 『遠野物語』 柳田國男(聚精堂) 1910 — 直接の記述はないが、柳田の妖怪観の背景
- 『日本妖怪大事典』(角川書店) 2005 — 油すましの項目
特集Collections
よくある質問FAQ
油すましは人を襲いますか?
いいえ、伝承では人に害をなすことはほとんどないとされています。
油すましの正体は何ですか?
正体は不明ですが、油をすます行為や油坊主との関連が指摘されることがあります。
油すましはどこで見られますか?
熊本県球磨地方の山道で、夕暮れ時や夜に現れるとされています。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室