垢嘗
垢嘗は、鳥山石燕『画図百鬼夜行』に描かれた妖怪で、夜中に便所に入り、湯垢や汚れを舐め取るといわれる。

- 分類
- 妖怪
- 分布
- 日本全国(主に都市部)
- 出没
- 便所、風呂場
- 弱点
- 清潔な環境
解説Overview
垢嘗(あかなめ)は、江戸時代の画家・鳥山石燕が安永8年(1779年)に刊行した『画図百鬼夜行』の「垢嘗」の項に描かれた妖怪である。石燕は、垢嘗を「舐むる」という言葉から連想したとされ、その名の通り、垢を舐める妖怪として紹介している。石燕の絵では、赤い体に毛が生え、長い舌を出した姿で描かれ、便所の隅に潜むように表現されている。
江戸時代の便所は、汲み取り式で、現代よりも汚れやすく、不衛生な場所であった。そのため、便所には何かしらの妖怪や怪異が潜むと考えられ、垢嘗もその一つとして成立した。石燕は、こうした民間の言い伝えを基に、垢嘗という妖怪を絵にした可能性が高い。
垢嘗の伝承は、石燕の『画図百鬼夜行』以降、江戸時代の妖怪画や随筆に散見されるが、その多くは石燕の絵を引用したものであり、独自の伝承は少ない。例えば、柳田國男の『妖怪談義』などでも、垢嘗は便所の妖怪として言及されることがあるが、その起源は石燕に求められることが多い。
また、垢嘗の呼称は地域によって異なることがある。例えば、同じ便所の妖怪として、「便所の神」や「便所の妖怪」などと呼ばれることもあるが、垢嘗という名前は石燕の命名によるものが定着したと考えられる。
現代では、垢嘗は便所の妖怪として、また「汚れを舐める」という特異な性質から、妖怪の中でもややマイナーな存在であるが、そのユニークな姿と行動から、妖怪ファンやサブカルチャーにおいて人気がある。特に、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』などに登場したことで、知名度が上がった。ただし、水木しげるの作品では、垢嘗は独自の解釈で描かれることが多く、必ずしも石燕の原典に忠実ではない。
垢嘗の性質としては、人間に直接害をなすわけではなく、むしろ便所を綺麗にするという側面もあるため、どちらかといえば害の少ない妖怪とされる。しかし、その姿や行動から、気味悪がられることも多い。
現代の妖怪事典などでは、垢嘗は「便所に現れる妖怪」として紹介されることが一般的であり、その出典は石燕の『画図百鬼夜行』に遡ることができる。また、近年の研究では、垢嘗が実際に便所の汚れを舐めるという行為から、清掃の象徴として再評価されることもある。
伝承・史料Lore
鳥山石燕『画図百鬼夜行』: 安永8年(1779年)刊。垢嘗は「舐むる」の言葉から創造され、便所に潜む妖怪として描かれた。
柳田國男『妖怪談義』: 昭和期の民俗学者柳田國男は、垢嘗を便所の妖怪として言及しているが、その起源は石燕に求められる。
水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』: 昭和後期の漫画で垢嘗が登場し、広く知られるようになった。ただし、デザインは独自の解釈による。
出典・参考文献References
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 1779 — 垢嘗の項
- 『妖怪談義』 柳田國男(角川書店) 1956 — 便所の妖怪として言及
- 『怪異・妖怪伝承データベース』 国際日本文化研究センター — 該当項目の各地事例(2026-09-19)
特集Collections
よくある質問FAQ
垢嘗はどんな妖怪ですか?
垢嘗は便所に現れ、垢や汚れを舐め取るといわれる妖怪です。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれました。
垢嘗は人に害をなしますか?
一般的には無害とされ、むしろ便所を綺麗にするとも考えられています。
垢嘗の出典は何ですか?
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1779年)が初出とされます。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室