木霊
木霊(こだま)は、山や森で声が反響する現象を、木の精霊の仕業とする日本の民間信仰。

- 分類
- 精霊・妖怪
- 分布
- 日本全国
解説Overview
木霊(こだま)は、山や谷で声が反響する現象を、木の精霊の仕業とする民間信仰である。山に入って大声を出すと、しばらく遅れて同じ声が返ってくる。これを「木霊が返す」と言い、木に宿る霊が応答していると考えた。
語源は「木魂」とも書き、木に宿る魂を意味する。古代から巨木や老木には神が宿るとされ、そうした木を「木霊」と呼ぶこともあった。『古事記』『日本書紀』には直接「木霊」の記述はないが、木を神聖視する観念は古くからある。中世の辞典『塵袋』には「木霊」の語が見え、木の精が声を返すという解釈が記されている。
江戸時代の国学者・本居宣長は『古事記伝』で、木霊を「木の霊」と捉え、反響の原因を説明しようとした。また、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には、木霊が山中で人を惑わすという記述がある。
地域によって呼称は異なる。東北地方では「木霊」のほか「山彦」とも呼ばれ、山の神の反応とされた。山彦は木霊とほぼ同義で使われるが、山の神そのものを指す場合もある。九州では「コダマサン」と呼び、木霊を祀る習慣があった。
姿は一定しない。多くの伝承では姿を見せず、声だけが返る。しかし、木の精として人型を取ることもある。柳田國男は『遠野物語』で、木霊を山の怪異の一つとして紹介している。同書には、木霊が人に憑く話や、木霊の声を聞いた者の話が収められている。
現代では、山でやまびこが返ることを「木霊」と呼ぶことが一般化し、妖怪というより自然現象として扱われることも多い。しかし、民俗学では木の精霊への信仰として研究され、巨木を伐採する際に木霊を祀る地域もあった。
妖怪としての木霊は、特定の姿を持たないがゆえに、山や森そのものの象徴とされる。水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』では、木霊は小さな精霊として描かれ、親しみやすい存在となった。
伝承・史料Lore
塵袋: 鎌倉時代の辞典『塵袋』に「木霊」の語が見え、木の精が声を返すという解釈が記される。
和漢三才図会: 江戸時代の百科事典『和漢三才図会』に、木霊が山中で人を惑わすという記述がある。
遠野物語: 柳田國男『遠野物語』に、木霊が人に憑く話や、木霊の声を聞いた者の話が収められている。
地域の呼称: 九州では「コダマサン」と呼び、木霊を祀る習慣があった。
出典・参考文献References
- 『塵袋』 1266 — 巻七に「木霊」の項
- 『和漢三才図会』 寺島良安 1712 — 巻之四十二 獣類 木霊
- 『遠野物語』 柳田國男(聚精堂) 1910 — 第二十一話、第二十二話などに木霊の記述
特集Collections
よくある質問FAQ
木霊とは何ですか?
木霊(こだま)は、山や森で声が反響する現象を木の精霊の仕業とする日本の民間信仰です。
木霊と山彦の違いは?
山彦は木霊とほぼ同義で使われますが、山の神そのものを指す場合もあります。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室