火車
火車とは、葬礼や死に際に現れ、亡骸を奪い去る妖怪。関西では猫の怪、関東では鬼ともされる。出典は『画図百鬼夜行』『遠野物語』など。

- 分類
- 妖怪・死霊
- 分布
- 日本全国(関西・関東で解釈が異なる)
解説Overview
火車(かしゃ)は、死者の亡骸を奪う妖怪である。その名は、葬送の際に棺を載せた車が動く音や、火の車が墓地に現れるという伝承に由来する。
『画図百鬼夜行』(1776年)には、火車が猫の姿をした妖怪として描かれている。鳥山石燕は、越後国(新潟県)の伝承を引いて、葬式の際に棺を奪うと説明した。また、『遠野物語』(1910年)には、岩手県遠野地方で、葬儀の帰りに火車が現れ、死体を奪ったという話が収録されている。
火車の姿は一定しない。関西地方では、猫が変化したものとされ、特に年老いた猫が火車になるという説がある。一方、関東地方では、鬼や天狗の類とされることが多い。また、火車は「火の車」とも呼ばれ、焼けた車輪のような姿で現れるともいう。
火車の性質は、死者の罪業を罰するものとされる。特に、生前に悪行を重ねた者や、葬儀の際に不謹慎な振る舞いをした者の亡骸を奪うとされる。また、火車が現れるのを防ぐために、葬儀の際に棺に経文を入れたり、魔除けの呪具を置いたりする風習があった。
地域による呼称の差も見られる。近畿地方では「かしゃ」、中国地方では「かしゃん」、九州地方では「かしゃどん」などと呼ばれる。
時代が下ると、火車は落語や講談にも登場し、怪談の題材として親しまれた。現代では、妖怪関連の書籍やアニメ、ゲームなどに登場し、その名を知る人も多い。しかし、火車を直接扱った研究は少なく、その実態は未解明な部分も多い。
火車は、死と密接に関わる妖怪であり、葬礼の際の禁忌や、猫に対する畏怖の念を反映していると考えられている。
伝承・史料Lore
猫の変化: 関西では、年老いた猫が火車になるとされる。特に、三毛猫や黒猫が火車になるという説がある。
火車と葬送: 『遠野物語』には、葬儀の帰りに火車が現れ、死体を奪ったという話がある。また、火車が現れるのを防ぐため、棺に経文を入れる風習があった。
火車の姿: 『画図百鬼夜行』では、火車は猫の姿で描かれている。また、火の車として、焼けた車輪の姿で現れるとも言われる。
出典・参考文献References
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 1776 — 火車の項
- 『遠野物語』 柳田國男 1910 — 火車に関する話
- 『妖怪談義』 柳田國男 1956 — 火車の記述
よくある質問FAQ
火車はどんな妖怪ですか?
火車は、葬儀や死に際に現れ、亡骸を奪う妖怪です。関西では猫の怪、関東では鬼ともされます。
火車はどこに現れますか?
火車は、墓地や葬儀場、また葬送の道中に現れるとされます。
火車を防ぐ方法はありますか?
棺に経文を入れたり、魔除けの呪具を置くことで火車を防ぐとされていました。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室