雷獣
雷獣とは、落雷とともに現れるとされる日本の妖怪で、雷を伴う怪異として近世以降の随筆や浮世絵に描かれた。

- 分類
- 妖怪・雷獣
- 分布
- 日本各地
- 姿
- 猫・鼬・狸・猿などに似る、一定しない
- 性質
- 雷とともに現れ、水を嫌う
- 主な記録
- 『和漢三才図会』『絵本百物語』明治期の新聞記事
解説Overview
雷獣(らいじゅう)は、雷の時に現れるとされる妖怪である。江戸時代の随筆や浮世絵、明治期の新聞記事などに記録が残り、雷とともに落ちてきた獣として語られることが多い。
その姿は一定しない。『和漢三才図会』には雷獣の図が掲載され、猫や鼬に似た体に鋭い爪を持つものとして描かれる。『絵本百物語』など近世の妖怪画でも、雷獣は雷雲から落ちる獣として視覚化された。地域によっては狸、鼬、猿、猫などの姿で語られ、名称も「雷獣」のほか「雷の獣」「かみなりけもの」などと呼び分けられることがある。
性質としては、雷を嫌い、または雷に乗って空を駆けるとされ、落雷の際に家屋や樹木に被害を与えると信じられた。一方で、雷獣が落ちてきた際に竹籠や網で捕獲したという逸話も残る。捕らえた雷獣は水を好み、水をかけると逃げる、あるいは元の雷に戻るという話もある。
時代が下ると、雷獣は実在の動物として説明されることもあった。明治期には「雷獣」と称する動物の死体や目撃談が新聞に載り、正体はアライグマやハクビシン、あるいは誤認された動物ではないかと論じられた。また、落雷の際に地面から出てくるとも、空から落ちるとも言われ、その出現経路は伝承ごとに揺れる。
現代では、雷獣は妖怪事典や地域の民話集に収録され、雷を象徴する妖怪として知られる。ゲームやアニメなどの創作にも登場し、雷属性の獣として再解釈されることが多い。しかし、伝承としての雷獣は特定の一地域に限定されず、日本各地の雷伝説と結びついて語られてきた点に特徴がある。
呼称の地域差としては、関東地方では「雷獣」、中部地方では「雷の子」、九州地方では「雷の獣」など、さまざまな呼び方が確認されるが、いずれも落雷と関連づけられている。雷獣の伝承は、雷そのものを畏れる心性と、その正体を動物に見立てようとする民間の想像力が交差する事例といえる。
伝承・史料Lore
『和漢三才図会』の雷獣図: 江戸時代中期の百科事典『和漢三才図会』には、雷獣が猫や鼬に似た姿で描かれ、雷との関連が記される。
『絵本百物語』の雷獣: 桃山人による『絵本百物語』(1841年)では、雷獣が雷雲から落ちる獣として描かれ、落雷の際に現れる妖怪として紹介されている。
明治期の新聞記事: 明治時代には「雷獣」と称する動物の捕獲や死体発見の記事が新聞に載り、その正体をめぐって議論が起こった。
水を嫌う性質: 伝承では、雷獣は水をかけられると逃げるとされ、雷を避けるための呪術として水が用いられることがあった。
出典・参考文献References
- 『和漢三才図会』 寺島良安 1712 — 雷獣の図と解説
- 『妖怪談義』 柳田國男 1938 — 雷獣に関する民俗学的記述
- 『絵本百物語』 桃山人 — 古典・基本文献(成書年は版により異なる)
特集Collections
よくある質問FAQ
雷獣とは何ですか?
雷獣は、雷の時に現れるとされる日本の妖怪です。落雷とともに落ちてくる獣として語られ、江戸時代の随筆や浮世絵、明治期の新聞記事などに記録があります。
雷獣はどんな姿をしていますか?
一定の姿はなく、猫、鼬、狸、猿、あるいは雷そのものなど、さまざまに描かれます。『和漢三才図会』では猫や鼬に似た姿で描かれています。
雷獣は実際にいるのですか?
雷獣は伝承上の存在ですが、明治期には雷獣と称する動物の目撃や捕獲の記事が新聞に載り、実際の動物の誤認とする説もありました。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室