山姥
山姥(やまうば)とは、山中に住むとされる日本の妖怪で、人を食らうとも、富を与えるとも伝わる。

- 分類
- 妖怪・山の神の眷属
- 分布
- 日本全国(特に東北・中部地方)
- 姿
- 白髪の老女、大きな口、鋭い牙
- 性質
- 人を食らう、宝物を与える、機を織る
解説Overview
山姥(やまうば)は、山中に現れるとされる日本の妖怪である。その名は「山の姥」、すなわち山に住む老女を意味し、特定の地域に限らず全国に伝承が分布する。柳田國男は『妖怪談義』(1956年、修道社)において、山姥を単なる怪物ではなく、山人(やまびと)や山の神の信仰と結びついた存在として論じた。また、『遠野物語』(1910年、柳田國男)には、山姥が機織りをしたり、子を産んだりする話が採録されており、人里近い山に住む老女として描かれることも多い。
姿は、白い髪を長く垂らした老女で、大きな口や鋭い牙を持つとされることが多いが、地域によって異なる。新潟県や長野県では、山姥が里に下りてきて人を食らうという話が伝わる一方、福島県や岩手県では、山姥が親切な行者や猟師に宝物を与えるという話もある。たとえば、『遠野物語』には、山姥が粟を搗いて与えたという話や、山姥の子が村人と交流したという話が収められている。
山姥は、能や歌舞伎の題材にもなった。謡曲『山姥』(作者不詳、室町時代)では、山姥が娘に姿を変えて旅人をもてなし、最後に正体を現すという筋で、山姥は単なる怪物ではなく、山の神の化身や、人間の畏怖と敬いの対象として描かれている。また、近世の絵巻や浮世絵にも山姥は登場し、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)には、山姥が山中で佇む姿が描かれている。
現代では、山姥は民俗学や妖怪研究の対象としてだけでなく、ゲームやアニメなどの創作にもしばしば登場する。また、山姥伝説が残る地域では、観光資源として活用されることもある。山姥は、人を食らう恐ろしい存在として語られる一方で、山の恵みをもたらす存在としても語られ、その二面性が魅力となっている。
伝承・史料Lore
柳田國男『遠野物語』: 山姥が機を織る話、山姥の子が村人と交流する話など、山姥を身近な存在として描く。
謡曲『山姥』: 山姥が娘に姿を変えて旅人をもてなすが、最後に正体を現す。山の神としての性格を持つ。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』: 山姥を山中に佇む老女として描き、妖怪としてのイメージを定着させた。
各地の伝承: 新潟県では人を食らう鬼婆、福島県では宝物を与える存在として語られるなど、地域による差が大きい。
出典・参考文献References
- 『遠野物語』 柳田國男(聚精堂) 1910 — 山姥に関する複数の説話を収録
- 『妖怪談義』 柳田國男(修道社) 1956 — 山姥を山の神や山人と関連づけて論じる
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 1776 — 山姥の図像を収録
- 『謡曲『山姥』』 — 室町時代の能楽作品。山姥を題材とする。
特集Collections
よくある質問FAQ
山姥はどんな妖怪ですか?
山姥は、山中に住むとされる老女の姿をした妖怪です。人を食らう恐ろしい存在として語られる一方、宝物を与える存在としても伝えられています。
山姥はどこに現れますか?
全国の山に現れるとされますが、特に東北地方や中部地方に伝承が多く残っています。『遠野物語』にも岩手県の山姥の話が収められています。
山姥と山の神の関係は?
柳田國男は、山姥は山の神の信仰と結びついた存在であると論じました。山姥は山の神の化身や、神に仕える存在として考えられることがあります。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室