手の目
手の目(てのめ)は、両眼のない男の両手の掌に目玉が付いた姿の日本の妖怪。江戸時代の怪談集に描かれ、夜道で人を襲うとされる。

- 分類
- 妖怪・怪異
- 分布
- 日本全国(特定の地域に限定されない)
- 特徴
- 両手の掌に目を持つ盲目の男
解説Overview
手の目(てのめ)は、眼窩が空ろな男の両手の掌にそれぞれ目玉が付いている姿で描かれる妖怪である。江戸時代の怪談集『諸国百物語』(1677年)巻三に「手の目」と題する話があり、それによれば、ある者が野原で出会った盲目の男は、両手の掌に目があり、その目で周囲を見回していたという。また、幕末の怪談集『絵本百物語』(1841年)にも「手の目」の名が見え、夜道で旅人を襲うと記される。文献によって細部は異なるが、共通するのは「目が手のひらにある」という身体的特徴と、人間を驚かせ、時に害をなす存在としての性格である。
名称は「手の目」のほか、地域によって「手目」「掌目」などとも呼ばれることがあるが、明確な方言差は確認されていない。古典資料では特定の土地に結びつく話は少なく、多くは旅の途中や夜道での遭遇譚として語られる。そのため、分布は全国に散在する伝承として扱われることが多い。
姿かたちは、髪は乱れ、粗末な着物をまとった男性の姿が一般的で、両手の掌の目は不気味に光るという描写もある。性格は必ずしも凶暴とは限らず、人を驚かせるだけで去る場合もあれば、襲いかかるとする話もあり、一定しない。これは、江戸時代の怪談が娯楽として読まれる中で、話ごとに演出が加えられたためと考えられる。
時代による変化として、近代以降は民俗学の資料や妖怪事典で紹介されることが多くなり、特に柳田國男の『妖怪談義』(1956年)などで言及されたことで、全国的に知られる妖怪となった。また、現代では妖怪をテーマにしたサブカルチャー作品に登場することもあり、視覚に訴える特異な風貌から、ホラーやファンタジーの題材として再解釈されることがある。ただし、これらは創作であり、伝承そのものではない点に注意が必要である。
出典としては、『諸国百物語』や『絵本百物語』といった江戸期の怪談集、柳田國男の民俗学書、そして現代の妖怪事典が挙げられる。それぞれの記述を照合することで、手の目が時代や語り手によって多様に語られてきた妖怪であることが分かる。
伝承・史料Lore
『諸国百物語』の怪: 1677年に成立した怪談集『諸国百物語』巻三に「手の目」の話が見える。盲目の男が両手の掌に目を持ち、それで辺りを見回していたという。
『絵本百物語』の描写: 1841年の『絵本百物語』にも手の目が登場し、夜道で人を襲うとされる。江戸時代の怪談文化の中で、恐怖を煽る存在として描かれた。
柳田國男の言及: 民俗学者・柳田國男は『妖怪談義』(1956年)などで手の目に触れ、全国的な妖怪として紹介した。これにより近代以降の妖怪研究で注目されるようになった。
出典・参考文献References
- 『諸国百物語』 1677 — 巻三「手の目」
- 『絵本百物語』 1841 — 手の目の項
- 『妖怪談義』 柳田國男 1956 — 手の目に関する言及
特集Collections
よくある質問FAQ
手の目とは何ですか?
手の目(てのめ)は、両手の掌に目が付いた盲目の男の姿で描かれる日本の妖怪です。江戸時代の怪談集に記録があり、夜道で人を驚かせたり襲ったりするとされます。
手の目はどこに現れますか?
特定の地域に限らず、全国的に夜道や旅の途中で遭遇する話が伝わっています。
手の目は実在しますか?
手の目は伝承上の妖怪であり、実在する生物ではありません。江戸時代の怪談集や民俗学の資料に記録が残っています。
最終更新: · 編集: 百鬼編集室